NST加算の概要
NST加算は、栄養障害の状態にある患者や栄養障害を生じるリスクの高い患者に対し、患者の生活の質の向上、原疾患の治癒促進及び感染症等の合併症予防等を目的として、医師、看護師、薬剤師、および管理栄養士などからなる栄養管理に係る専門知識を有した多職種からなるチーム診療を評価したものである。
NST加算の算定要件
①対象患者に対する栄養カンファレンスと回診の開催(週1回程度)
②対象患者に関する栄養治療実施計画の策定とそれに基づくチーム診療
③1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする等
NST加算に関する施設基準について
当該保険医療機関内に、専任の①~④により構成される栄養管理に係るチームが設置されていること。また、以下のうちのいずれか1人は専従であること。ただし、当該サポートチームが診察する患者数が1日に15人以内である場合は、いずれも専任で差し支えない。
①栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤医師
②栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤看護師
③栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤薬剤師
④栄養管理に係る所定の研修を修了した常勤管理栄養士
上記のほか、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、言語聴覚士が配置されていることが望ましい。
NST医師およびメディカルスタッフに関する研修条件
(1)NST 医師
医師における栄養管理に係る所定の研修とは、医療関係団体等が実施する栄養管理のための専門的な知識・技術を有する医師の養成を目的とした10 時間以上を要する研修であること。なお、当該研修には、次の内容を含むものであること。
①栄養不良がもたらす影響
②栄養評価法と栄養スクリーニング
③栄養補給ルートの選択と栄養管理プランニング
④中心静脈栄養法の実施と合併症及びその対策
⑤末梢静脈栄養法の実施と合併症及びその対策
⑥経腸栄養法の実施と合併症及びその対策
⑦栄養サポートチームの運営方法と活動の実際
(2)NST メディカルスタッフ
医師以外の3職種における栄養管理に係る所定の研修とは、次の事項に該当する研修であること。
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- 医療関係団体等が認定する教育施設において実施され、40 時間以上を要し、当該団体より修了証が交付される研修であること。
- 栄養管理のための専門的な知識・技術を有する看護師、薬剤師及び管理栄養士等の養成を目的とした研修であること。なお、当該研修には、次の内容を含むものであること。
①栄養障害例の抽出・早期対応(スクリーニング法)
②栄養薬剤・栄養剤・食品の選択・適正使用法の指導
③経静脈栄養剤の側管投与法・薬剤配合変化の指摘
④経静脈輸液適正調剤法の取得
⑤経静脈栄養のプランニングとモニタリング
⑥経腸栄養剤の衛生管理・適正調剤法の指導
⑦経腸栄養・経口栄養のプランニングとモニタリング
⑧簡易懸濁法の実施と有用性の理解
⑨栄養療法に関する合併症の予防・発症時の対応
⑩栄養療法に関する問題点・リスクの抽出
⑪栄養管理についての患者・家族への説明・指導
⑫在宅栄養・院外施設での栄養管理法の指導